『今日、長ぐつを履いてきたよ』と、嬉しそうに見せてくれる子がいました。大人にとっては憂鬱な雨も、子どもたちにとっては楽しいひと時に早変わりします。子どもたちはなぜか長ぐつが好きですよね。そして水たまりも大好物です。アリやダンゴ虫、園庭に生息するあらゆる虫を、何とかして飼おうとします。その好奇心は、大人たちがいつの間にか封印していく大切な感情なのでしょう。羨ましいほどのエネルギーは、やがて人間形成の大切な土台となっていくのだろうと思うと、好奇心を思う存分満たしてあげたいと感じます。

　長い時間を子どもと共に過ごし、現場で保育をする機会が少なくなってきたからこそ、子どもたちの発する言葉や表情の一つひとつが愛おしく、また子どもたちに対しては、尊敬の念が強くなるばかりです。この小さな保育園の中で、ひとつでも命輝く瞬間が訪れてくれたら、それは保育者たちや、保育に携わるすべての人たちにとって幸せな贈り物になります。

封印された好奇心を取り戻させてくれる子どもたちに、今日も心から感謝し、共に育ち合う幸せを噛み締めながら、日々の保育を大切に過ごしたいと思います。

（園長　矢野久美）